投資詐欺で失ったお金を返金させる方法とは?準備すべき事と手段を弁護士が解説

投資詐欺

最近では、投資詐欺の被害に遭ったという相談、被害金を取り戻したいという相談が増えています。

「絶対に儲かる」
「元本保証」
「高配当」

魅力的な誘い文句で投資を勧誘し、その資金を不正に奪う悪質な投資詐欺が存在します。

投資詐欺の手口は多岐にわたり年々被害件数が増加し、国民生活センターなどからも注意が喚起されています。

この記事では、投資詐欺の返金方法について、弁護士が詳しく解説します。

これって投資詐欺?

投資詐欺とは、「高配当・ハイリターン」「元本保証」といった虚偽の情報で投資家を勧誘し、金銭をだまし取る詐欺行為です。

投資自体にはリスクが伴うものですが、投資詐欺はその性質上、投資家から金銭をだまし取ることが目的となっています。

具体的な投資詐欺の手口には、以下のようなものがあります。

  • 未公開株詐欺
  • 架空の事業やプロジェクトへの投資話
  • 名義貸し型詐欺
  • 仮想通貨に関する詐欺
  • 劇場型の詐欺

未公開株詐欺

未公開株詐欺は、上場していない会社の株式への投資を勧誘する手口です。

「この会社の株は将来的に上場する予定で、その際に価値が数百倍になる見込みがあり、今購入しておけば大きな利益が得られます」

といった虚偽の情報を用いて、投資を促します。

しかし、実際には上場予定がなく、流通性が低い株式であるか、あるいは無価値な株式を購入させ、投資家から資金をだまし取ることが目的とされています。

架空の事業やプロジェクトへの投資話

新規事業やプロジェクトへの投資を装った手口が存在します。

太陽光発電エネルギー事業再生医療などの医療事業、または発展途上国に対する開発プロジェクトなど、多岐にわたる分野で投資家を誘い込みます。

しかし、実際には事業やプロジェクトが存在しないことがほとんどであり、集めた投資金を持ち逃げするといったケースが主な手口となります。

名義貸し型詐欺

名義貸し詐欺は、「自分で金を払うのは嫌だが、自分の身銭は切らない名義貸しならいいか」という心理を利用しています。

具体的なケース

「あなたには有名企業の社債購入権があり、購入しないなら対価として報酬を支払うので名義だけを貸してほしい」といった内容の電話で接触されます。

名義を貸すと、後になって弁護士を名乗る者から「名義貸しは違法であり、賠償金を支払うか、さもないと法的な措置をとる」と脅され、最終的にはお金を支払うように仕向けられます。

違法行為をしていると思い込ませ、怖れさせた結果、被害者からお金をだまし取る悪質な手法です。

仮想通貨に関する詐欺

仮想通貨に関連する詐欺被害も増加しています。

実際には事業が存在せず、無価値な仮想通貨を購入させられ、投資した資金をだまし取られることがあります。

高い配当を約束しながらも、実際には配当を支払わず、返金要求にも応じない手口も多く発生しています。

劇場型の詐欺

劇場型詐欺は、複数の企業や業者が協力して1人の被害者をだます手口です。

例えば、ある人が「○○の未公開株が有望だよ」と伝えた後、まったく異なる業者からも「この未公開株は見込みが高い」と勧誘があります。

被害者は、最初に情報を提供した人と後から勧誘してきた業者が関係がないと思い込み「複数の情報源が同じことを言っているなら本当に利益が出るだろう」と考えて投資してしまいます。

しかし、実際には最初の情報提供者と後から勧誘してきた業者が協力しており、最初から資金をだまし取る目的で行動していたため、被害者は資金を失ってしまいます。

投資詐欺の返金請求のために準備すべき事

投資詐欺に巻き込まれた場合、まず犯罪に巻き込まれた認識を持ち、その投資詐欺の被害に関連する資料の収集から始めましょう。

  1. 加害者に関する資料
  2. 被害が証明できる資料
  3. 事実経過がわかる資料

これらの資料や証拠を整理しておくことで、後の返金請求や法的手続きが円滑に進む可能性が高まります。

どのような資料や証拠を集めるべきか具体的に解説します。

加害者に関する資料

投資を勧誘してきた者の情報を収集しましょう。

後の返金請求や法的手続きに備えて、詳細な情報を集めることが重要です。

以下は、収集するべき情報の例です。

  1. 投資内容に関する資料:
    • パンフレットやウェブサイト
    • 勧誘時に渡された資料や案内
  2. 連絡先情報:
    • 加害者の名刺やLINE、SNS、連絡先が記載されたもの
  3. 契約書や口座情報:
    • 被害時に交わした契約書や口座情報

これらの資料や情報は、加害者の特定や法的な手続きに必要となります。

被害が証明できる資料

自分の被害状況を証明するために必要な資料も用意しましょう。

被害状況を捜査機関に届け出たり、救済手段を活用するためには、被害の証拠を明確に示すことが必要です。

以下は、被害を証明するための具体的な資料の例です。

  1. 契約書や請求書:
    • 加害者から受け取った契約書や請求書
  2. 振込明細書:
    • 振り込んだ際の事実を示す振込明細書や振込明細書を写した写真
  3. 預金通帳:
    • 振り込みが確認できる預金通帳のコピー

これらの資料を整理し、保管しておくことで、被害を的確に証明しやすくなります。

事実経過がわかる資料

投資詐欺に遭った前後の出来事を時系列に整理しましょう。

捜査機関や弁護士に相談する際には、事実経過が明確であるほど効果的です。

以下は、投資詐欺前後の出来事を整理するための具体的なアプローチです。

  1. 時系列メモ:
    • 投資詐欺に遭う前後の出来事を、日付や時間に基づいて時系列でメモにまとめる。
  2. 加害者とのやり取り:
    • 加害者とのメールなどのやり取りを保存し、時系列に整理する。
    • 特に、勧誘や契約に関する内容を重点的に収集。

これらの情報は、クーリングオフの有無や法的な手続きにおいて重要となります。

投資詐欺で失ったお金の返金方法

投資詐欺で資産をだまし取られた方は、「少しでも取り返したい」と思うでしょう。

ただし、被害者心理につけこんだ返金を装った被害回復型の詐欺にも注意が必要です。

正しい方法を知り、次なる被害を防ぎつつ、返金を求めましょう。

以下は具体的な方法です。

  • クーリングオフ制度の利用
  • 加害者に直接交渉
  • 振り込め詐欺救済法の適用
  • 刑事告訴
  • 弁護士に相談

これらの方法を検討し、適切な対応をすることが重要です。

クーリングオフ制度の利用

最初の手段として、クーリングオフ制度を利用する返金方法があります。

クーリングオフは、特定の商品やサービスの契約において、契約後でも一定期間内に申し込み者が契約を撤回または解除できる、特定商取引法に基づいた制度です。

クーリングオフは、被害に気づいた直後に有効な手段となります。

一定の期間が経過した場合や、対象となる契約でない場合は利用できません。

適用可能な条件を確認し、早めに対処することが重要です。

加害者に直接交渉

加害者の特定ができた場合、加害者と直接交渉する方法も考えられます。

まず、内容証明郵便を送付することが一般的です。

内容証明郵便を送ることで、請求した旨が文書として残り、時効の完成を防ぎ、相手に支払いへの圧力をかけることができます。

しかし、投資詐欺は組織的に行われることが多く、加害者がどのような素性の人物か不明な場合も多くあります。

そのため、被害者が加害者と直接交渉する際は危険が伴います。

難しい場合は、弁護士に依頼して交渉や訴訟を任せることが安心です。

また、相手に資金がない場合は回収が難しいことも考慮しておく必要があります。

振り込め詐欺救済法の適用

振り込め詐欺救済法を活用すれば、被害者が資金を取り戻せる可能性があります。

振り込め詐欺救済法は、犯罪に利用された口座からの被害金回収に関する手続きや条件を定めた法律です。

騙されて振り込んだ口座に残高がある場合、被害者は金融機関に対して振り込め詐欺救済法に基づく申し出を行うことで返金を受けることができます。

この方法のメリットは、加害者に直接回収しなくても良いという点です。

ただし、加害者の口座に残高がない場合は返金が難しくなります。

また、被害者が複数いる場合は人数に応じて按分(あんぶん)が行われます。

投資詐欺では多くの被害者がいることが一般的

そのため、十分な返金が期待できるかは確実ではありませんが、振り込め詐欺救済法を利用することで一部の被害金を取り戻せる可能性があります。

刑事告訴

刑事告訴を行うことで、返金に近づく可能性も考えられます。

「刑事告訴しても刑事事件になるだけで、返金とは関係ない」という懸念を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、返金は通常、民事上の手続きによって求めるものであり、刑事告訴をしても直接的な返金が得られるわけではありません。

しかし、刑事告訴によって加害者が刑罰を恐れ、示談を持ちかけてくるケースがあります。

示談交渉において条件が整えば、被害金の一部または全額を回収できる可能性もあります。

示談に応じることで加害者の刑事処分が軽くなるというデメリットがあるものの、刑事告訴は被害の一定程度の回復に繋がる有効な手段と言えます。

弁護士に相談

特に加害者に対して刑罰を求める場合は、警察の協力が欠かせませんが、詐欺の証明が難しく取り合ってもらえない可能性があります。

詐欺は犯罪の中でも立証が難しく、不十分な証拠では立件が難しいことがあります。

このような場合、刑事告訴を得意とする弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士は犯罪被害者の対応に慣れており、刑事告訴の手続きを効率的に進めることができます。

警察とのやりとりも弁護士が代行してくれます。

また、弁護士に依頼すれば民事上の返還請求も可能です。

刑事・民事の両面で加害者を追及したい場合は、警察に相談する前に弁護士に相談する方が、速急で効果的な対応が期待できるでしょう。

まとめ

万が一、投資詐欺の被害にあった場合、弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

被害金の返金を求めるには、クーリング・オフ制度を活用したり、加害者と直接交渉を試みたり、民事訴訟を提起するなどの対応が必要ですが、これらの手続きは非常に複雑で難しいです。

弁護士に相談・依頼することで、返金の可能性を判断してもらったり、手続きの多くをプロに任せることができます。

詐欺被害にあった際には、自分を責めずに冷静に行動し、専門家に相談することが重要です。

投資詐欺の返金請求については、ぜひ当事務所までご相談ください。

刑事・民事の両面で、投資詐欺の返金請求に適切かつ総合的なサポートをお約束いたします。

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