「スマホで簡単に稼げる」「1日数分の作業で月10万円以上」など、魅力的な言葉に惹かれて始めた副業で、結果的に高額な費用を払わされてしまった…そんな“副業詐欺”の被害が後を絶ちません。
しかし、諦める必要はありません。
適切な方法や専門家の力を借りることで、支払ってしまったお金を取り戻せるケースは少なくないのです。
本記事では、多くの詐欺被害を扱ってきた弁護士の立場から、以下の内容を詳しく解説します。
・副業詐欺の被害と返金の可能性
・副業詐欺の典型的なパターン
・返金を求める6つの方法
・弁護士に依頼するメリット
・弁護士選びのポイント
・返金成功事例
・返金請求の流れ
・注意点
この記事を読むことで、詐欺被害からの返金可能性が高まり、正しい対処法を知るきっかけとなるはずです。
1. 副業詐欺の被害と返金の可能性
1. 副業詐欺の被害相談件数
国民生活センターが公表するデータによると、SNSやインターネットを通じた副業詐欺関連の相談が以下の通り寄せられています。
PIO-NETに登録された相談件数の推移
年度 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
相談件数 | 9,430 | 6,999 | 6,174 | 463(前年同期 717) |
相談件数は2024年5月31日現在(消費生活センター等からの経由相談は含まれていません)
出典:国民生活センターHP「情報商材(各種相談の件数や傾向)」
2. 実は返金が可能なケースも多い
「一度払ってしまったからもう無理」「返金なんて無理だろう」と諦める方もいますが、以下のような条件を満たしている場合、返金の可能性があります。
・不実告知: 「必ず稼げる」「返金保証あり」と嘘をついて契約させた
・クーリングオフが対象の取引: 特定商取引法に基づくクーリングオフが利用できる
・詐欺的な手口: 実体のない情報商材や架空の投資話
ポイントは、早めに専門家に相談し、証拠をしっかりと確保しておくことです。
2. 副業詐欺の典型的なパターン
「副業詐欺」とひと口に言っても、その手口は多種多様です。代表的な例を挙げてみましょう。
1.「簡単に稼げる」と謳う高額な情報商材
・SNSなどで「寝ている間に〇〇円稼げる!」と誇張
・初期費用やコンサル料として数十万円を請求される
2.報酬を受け取るための手数料を繰り返し請求
・「振込手数料が必要」「運営側に追加費用がかかる」などの理由で何度も支払いを要求
・一度支払いをすると「次こそは受け取れる」と信じてしまい、さらにお金を払ってしまうケースも
3.SNSや暗号資産などの最新トレンドを悪用
・AI副業、自動売買ツール、仮想通貨投資などを使った詐欺
・具体的な説明は少なく、「とにかく稼げる」という抽象的な謳い文句ばかり
どのパターンでも共通しているのは「甘い誘惑や華やかな実績を強調する一方、リスクに関する説明はほとんどない」という点です。
副業詐欺のよくある手口や見分け方については下記の記事で詳しく解説しております。
3. 返金を求める6つの方法
被害に遭った場合、主に以下の6つの方法で返金を目指すことが可能です。
1. クーリングオフの申請
・対象: 電話勧誘販売、業務提供誘引販売取引、連鎖販売取引(マルチ商法)など特定商取引法に該当する取引
・期間: 原則、契約書面を受け取った日を含めて8日以内(種類によっては20日以内)
・注意点: 期間を過ぎても消費者契約法など他の法律を使って返金を主張できる可能性がある
2. 和解交渉(返金交渉)
・直接交渉: 自力で業者に「虚偽の説明で契約させられた」と伝え、返金を求める
・注意点: 相手が応じない、逆に脅されるリスクがあるため、可能なら専門家に相談を
3. チャージバック
・クレジットカード決済の場合: 一定期間内であればカード会社に支払いの取消しを要求できる
・成功条件: 「詐欺を証明できる書類」「契約書」などの明確な証拠が必要
・メリット: 返金率が比較的高く、手続きが比較的スムーズな場合も多い
4. 支払停止の抗弁
・クレジットカードやローン契約の場合: 不正な契約が疑われる際に支払いを停止できる
・メリット: 経済的負担がかかる前にストップできる
・注意点: カード会社とのやり取りで理由書などの手続きが必要
5. 消費生活センターの利用
・公的機関に相談: 地元の消費生活センターや国民生活センターに連絡
・斡旋・助言: 専門の相談員が業者との交渉に入ってくれる場合も
・限界: 法的強制力はないため、応じない業者も多い
6. 弁護士への依頼
・費用: 弁護士費用がかかるものの、成功報酬型を利用すれば着手金を抑えられるケースも
・本格的な法的手段: 内容証明郵便の送付、訴訟、差押えなど
・業者の態度が変わりやすい: 弁護士名義での通知は業者に対する圧力となる
副業詐欺に遭った場合に弁護士に相談すべき理由を下記の記事で解説しております。
4. 弁護士に依頼するメリット
1.専門知識と経験
「副業詐欺」は法律だけでなく、詐欺の特殊な手口に関する知識も必要です。詐欺案件の実績が豊富な弁護士なら、スムーズに返金交渉を進められます。
2.業者の態度が軟化
弁護士名義で通知書を送ることで、業者が返金に応じる可能性が高くなります。
3.弁護士会照会などで相手方を特定
業者の住所や連絡先が不明瞭でも、弁護士の権限を用いて情報を取得できる場合があります。
4.再び騙されるリスクが減る
弁護士が間に入ることで、再度の詐欺的交渉や精神的な負担を軽減できます。
5.費用対効果
着手金無料で成功報酬の事務所であれば、返金を得られた金額から成功報酬を支払うため、依頼者のリスクを抑えることが可能です。
5. 弁護士選びのポイント
1.解決実績が豊富
副業詐欺や消費者被害に関する実績数を確認します。
2.詐欺被害を専門分野としている
「情報商材詐欺」「マルチ商法」などに詳しいかどうかを確認しましょう。
3.無料相談が可能
無料初回相談を行っている事務所は多く、費用面の不安を解消しやすいです。
4.無理な依頼を強要しない
十分な説明がなく、契約を急かす事務所には注意してください。
5.着手金無料・成功報酬型
経済的なリスクを減らすためにも、報酬体系はよくチェックしましょう。
6. 返金成功事例
事例1: 弁護士による任意交渉で約8割返金
・被害内容: SNSの広告を見て契約した副業(約150万円)
・手口: 「1ヶ月で100万円稼げる」と謳うも、実態は全く稼げない
・結果: 被害者が弁護士へ依頼 → 弁護士から業者へ通知書送付・任意交渉 → 約7割の金額(105万円)の返金に成功
事例2: カード会社への支払停止要求で全額返金
・被害内容: 「FX自動売買システム」での投資詐欺(クレジットカード決済)
・手口: 「ほったらかしで一生不労所得」との触れ込み
・結果: 証拠(やり取りのスクリーンショット等)をもとにチャージバックと支払停止の抗弁を行い、全額返金を実現
7. 返金請求の流れ
1.無料相談
・弁護士事務所や消費生活センターに相談。
・必要な証拠(契約書、振込明細、メールやSNSのやり取りなど)を整理。
2.契約締結
・弁護士事務所と正式に契約。
・成功報酬や着手金など費用面の確認を行う。
3.詐欺業者との交渉開始
・通知書の送付、メールや電話での交渉。
・相手が不明な場合は弁護士会照会などで特定。
解決(返金の実現)
・任意交渉で合意できれば返金を受け取る。
・合意できない場合は、訴訟提起も視野に入れる。
期間の目安: 早ければ2~3週間、通常だと2か月程度が目安となります。場合によっては半年以上と長引くケースもあります。
8. 注意点
専門家のアドバイスを優先
インターネット上の情報だけで自己判断せず、弁護士などの専門家に相談しましょう。
二次被害に注意
「被害金を取り戻します」と謳う詐欺業者が、再度被害者を狙うケースがあります。
自力交渉はリスクが大きい
業者が脅迫的な態度に出たり、証拠を隠滅されたりする可能性も。
証拠保全の重要性
振込明細や契約書、メール・LINEのやり取りなどは必ず保存しておきましょう。
期限がある手続きも多い
クーリングオフなど法的手続きには期限があるため、早めの行動が大切です。
よくある質問とその回答
副業詐欺に関する悩みや疑問は一人ひとりが抱えるものですが、返金手順や詐欺被害からの対処方法について知ることが大切です。副業詐欺に関するQ&Aを通じて、被害に遭わないための注意点や、もし被害に遭った場合の適切な対策を理解しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 一度支払ったお金を本当に取り戻せるの?
A. 事例や状況によって異なりますが、詐欺的手口が確認される場合は返金可能性があります。特にクレジットカード払いの場合は、チャージバックを利用できるケースが多いです。
Q2. 弁護士費用が心配ですが、相談だけでも大丈夫ですか?
A. 当事務所では無料相談を実施しています。料金形態も「着手金無料」「成功報酬型」で対応しておりますので、まずは相談ください。
Q3. 証拠がほとんどないのですが、返金は厳しいですか?
A. 証拠が全くないと交渉は難しくなりますが、LINEのトーク履歴やメールが少しでも残っていればそれを活用できます。また、弁護士会照会などで相手の情報を補足できる場合もあります。
Q4. 着手金と成功報酬以外にかかる費用はありますか?
A. 当事務所では着手金は0円です。全て成功報酬のみになります。回収ができなければ費用はいただいておりません。
Q5. 返金交渉にどれくらい時間がかかりますか?
A. 短ければ数週間、長引けば数ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。焦らず、根気よく対応することが大切です。
監修者:LEGAL Zeus法律会計事務所
代表弁護士 中井 達朗
30社を超える多業種の顧問先企業をサポートしており、企業法務分野において幅広い業態の知見を有する。また、企業内弁護士を務めていた経験を活かして、AI開発会社の取締役CLO(Chief Legal Officer)をはじめ、不動産会社、マーケティング会社、美容クリニック、社会福祉法人など、合計6社(2024年5月現在)の法務最高責任者も務める。