「簡単に稼げる」「必ず儲かる」という言葉に魅力を感じて副業を始めたものの、実際には大切なお金を失ってしまった…。そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。
副業詐欺の被害に遭った場合、多くの方が「もう取り戻せない」「自分が悪かった」と諦めてしまいがちです。しかし、適切な対応をとることで、被害の回復が可能なケースも数多くあります。
当事務所では、数多くの副業詐欺被害の解決に携わってきました。その経験から、被害に遭われた方が取るべき具体的な対応方法と、弁護士に相談するメリット、そして実際の依頼の流れについて、詳しく解説していきます。
一人で悩まず、まずは専門家に相談することが、解決への第一歩となります。この記事が、被害に遭われた方の助けとなれば幸いです。
副業詐欺の概要と特徴
1- 副業詐欺ってなに?
副業詐欺 とは、「スマホ一台で簡単に月○万円稼げる」「ノーリスク・元本保証の投資案件」「一度登録するだけで自動的に収益が発生」などと魅力的な勧誘をし、実際には利益を得られないまま初期費用やサポート料を騙し取る行為を指します。SNSやインターネットを通じた広告が増えており、被害者が後を絶ちません。
実際に消費者庁からも以下の注意喚起が発表されております。
引用元:遠隔操作アプリを用いて、消費者金融業者から高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起
2-よくある手口と事例
ここでは、特に被害が多い副業詐欺の手口をご紹介します。実際に弁護士として多数の相談を受けてきた経験から、注意すべきポイントを詳しく解説いたします。
(1)情報商材
【特徴】
・「この情報商材を読めば必ず月○万円稼げる」「誰でもラクに稼げる秘密のノウハウ」などと高額なPDFやオンライン教材を販売。
・実際に中身を確認すると、ありふれた内容や一般知識にとどまり、実践しても稼げないケースがほとんど。
【弁護士の視点】
情報商材自体に法的問題がない場合もありますが、「確実に稼げる」「リスクゼロ」などの表現は誇大広告・不実告知にあたる可能性が高いです。
消費者契約法や特定商取引法に基づき、契約を取り消したり返金を求めたりできる余地があります。ただし、商材の内容や広告の仕方などの証拠を残しておくことが重要です。
(2)スマホ副業
【特徴】
・「スマホだけで月○万円確実」「1日30分の作業で誰でも稼げる」などと宣伝し、登録料やサポート料を請求される。
・具体的な作業内容を伝えられずに、契約をさせられてしまい代金の支払い後に作業内容を確認すると到底、短時間で稼げるような内容ではなかった。
【弁護士の視点】
「短時間」「誰でも」という謳い文句に惹かれて被害に遭う方が多いです。
作業後に「さらに効率を上げるには追加教材が必要」と費用を重ねて請求されるケースも。
事前に作業内容や報酬形態を明示しない勧誘は、法的に問題がある可能性が高いといえます。
(3)出会い系・メールレディ
【特徴】
・「メールやチャット対応だけで高収入」「男性の相談に乗るだけで報酬が入る」などと勧誘。
・初期登録料や有料ポイント料を支払わせた後、全く報酬が振り込まれず、文字化けやエラーなどの理由でさらに追加費用を支払わせる。
・実際には架空の会員を装ってポイントや利用料金を消費させるだけで、被害者が稼げる仕組みになっていない。
【弁護士の視点】
場合によってはアダルト要素を含むサイトとの契約になることもあり、トラブルが発覚しにくい側面があります。
誰にも相談できずに被害が拡大する傾向があるため、早めに専門機関へ相談することが重要です。
金銭だけでなく、個人情報流出のリスクも高いので、個人情報の取り扱いについて確認しましょう。
(4)アフィリエイト
【特徴】
・「初心者でも簡単に月○万〜○○万円」「特別なスキル不要」「コピペするだけですぐ稼げる」などと謳う勧誘文句。
・実際にはアフィリエイトで収益を上げるにはサイト構築やSEOなどの知識と時間が必要で、短期で高額を稼ぐのは困難。
・高額な講座やコンサルを受講させるも、ノウハウが曖昧で再現性が低いケースが多い。
【弁護士の視点】
アフィリエイト自体は合法なビジネスですが、「確実に儲かる」「誰でも短期間で高収入」という表現は問題になりやすい。
広告文言が事実と異なる場合や、契約前と後で大きく条件が変わる場合は、返金や契約解除が認められる余地があります。
支払った費用以上に追加費用を請求された場合は、速やかに契約書を確認して弁護士へご相談ください。
(5)FX自動売買ツール
【特徴】
・「AI搭載のツールで放置するだけ」「元本保証で損失ゼロ」などとうたい、数十万円の購入費や月額利用料を請求。
・いざ運用を開始すると 損失が膨らむ、あるいは「アップグレードしないと成果が出ない」と追加費用を請求される。
・結局利益が出ず、サポート窓口も機能しなくなることが多い。
【弁護士の視点】
金融商品取引法上の問題や無登録営業の可能性があります。
「必ず儲かる」「ノーリスク」というのは リスクの不実告知 に該当しうるため、法的に大きな問題となるケースが少なくありません。
購入後すぐにトラブルを感じた場合、クーリングオフや契約解除の手続きを急ぐことが必要です。
(6)投資レクチャー
【特徴】
・「少額でも大きく稼げる投資案件を特別に紹介」「VIP限定のコミュニティでプロがサポート」などと勧誘される。
・レクチャー代やコミュニティ加入費用として高額な料金を請求し、実際の投資成果はほぼ出ないまま追加費用を求める。
・最終的に「もっと投資額を増やさないと稼げない」と金銭を出させ続けるパターンが多い。
【弁護士の視点】
「投資に絶対の保証はあり得ない」という原則を無視する勧誘は、詐欺的要素が強いです。
金融商品取引法や出資法などの法律に抵触するケースもあるため、早期に専門家へ相談することが望ましいです。
証拠として、勧誘時の文言やレクチャー内容を保存しておくと、後の返金交渉で有利になります。
これらの手口はいずれも、「誰でも簡単に高収入が得られる」 といった甘い言葉を用い、被害者に 初期費用や追加費用を払わせる のが共通点です。
副業や投資で収入を得るには、本来それなりの知識と時間・労力が必要ですが、その現実を隠蔽し、「すぐ稼げる」という錯覚を与えてきます。
万が一、こうした手口に引っかかった場合は、速やかに証拠を確保し、専門家へ相談しましょう。
3. 被害に遭いやすい人の特徴
・副業に関する知識が少なく、簡単に稼げると信じてしまう
・将来や生活費に不安があり、少しでも早く収入を得たいと思っている
・周りに相談しづらく、一人で判断してしまう
副業詐欺に気づいたらすぐにすべきこと
1. 詐欺業者との連絡を断つ
詐欺業者は、被害に気づいた被害者に対して「キャンセル料」「違約金」など、さらにお金を請求することがあります。
連絡を続けると脅迫などのトラブルに発展する可能性もあるため、まずは連絡を断ちましょう。
2. 証拠の保全
・やり取りの履歴(SNS・チャット・メールなど)をスクリーンショットで保存
・振込明細やクレジットカードの利用明細を確保
・契約書や案内資料があれば残しておく
後々、「詐欺だった」ことを法的に立証するときに重要な証拠となります。
3. 金融機関への連絡(口座凍結の申請)
支払いに使った銀行口座が特定できていれば、被害の拡大を防ぐため、金融機関に相談して口座凍結を依頼する場合があります。
ただし、実際に凍結されるかどうかは各金融機関の判断によります。
副業詐欺に遭ったら、まずどこに相談すればいいのか?
副業詐欺の被害に遭った場合、混乱し「どこに相談すればいいのか分からない」という方は多いです。
そんなときは、次の3つの窓口や専門家を活用しましょう。
被害の内容や状況に応じて、それぞれの特徴を理解したうえで、相談先を検討してください。
1.国民生活センター・消費者センター
【特徴】
消費者被害全般に関する相談窓口。主に少額の被害や、比較的軽微なトラブルが対象。
相談員からのアドバイスを受けられ、被害の拡大を防ぐための情報提供などを行ってくれる。
【留意点】
法的な手続きや返金請求を直接進める機関ではない。
深刻な被害や高額詐欺の場合は、弁護士や警察の協力も必要。
「被害額が数万円未満」「まずはどのように対応すればいいか知りたい」という場合は、国民生活センター・消費者センターに相談することで初期的なサポートが受けられます。
2.警察
【特徴】
悪質な業者の身元特定、詐欺行為の捜査や犯罪立件など、刑事事件化を視野に入れた対応を行う。
被害届を受理してもらえれば、捜査が進む場合がある。
【留意点】
詐欺被害として刑事事件になるかは、証拠の有無や詐欺の手口によって異なる。
相談だけでなく、被害届を出す場合は「やり取りの履歴」「振込明細」などの証拠が重要。
「相手の所在がわからない」「悪質業者による犯罪性が高い」と感じた場合は、迷わず警察に相談して捜査の協力を依頼しましょう。
3. 弁護士
【特徴】
法的手段による返金請求や損害賠償請求の手続きを代理で行える専門家。
被害者の代理人となり、業者との交渉や裁判手続きをスムーズに進められる。
【メリット】
詐欺行為の法的根拠を明確にして、返金や解決策を具体的に示してもらえる。
証拠の収集や書面作成、業者との直接交渉などを任せられるため、精神的負担が軽減。
「確実に返金を求めたい」「大きな被害が出ており、法的措置を取りたい」と考えている場合は、早めに弁護士へ相談し、適切な対応を取りましょう。
副業詐欺の被害にあったら弁護士に相談するのがおすすめ
副業詐欺で被害に遭ったら弁護士に相談するのがおすすめです。
副業詐欺に巻き込まれた場合、素早い行動が極めて重要です。
相手の業者と連絡が途絶えた場合、弁護士でさえも返金請求が難しくなる可能性があるためです。
弁護士に相談することで、適切な法的手続きを踏み、被害を最小限に食い止めることが可能です。
早い段階で弁護士へのご相談を検討しましょう。
弁護士に依頼するメリット
1. 専門的な法的知識による対応
消費者契約法・特定商取引法・民法など複雑な法律を踏まえ、最適な法的主張を構築します。
詐欺行為の立証方法や手続きの進め方を熟知しているため、より高い返金率を目指せます。
2. 詐欺業者との交渉代行
被害者自身が交渉すると、言いくるめられたり、逆に脅されたりするリスクがあります。
弁護士が代理人となることで、精神的負担を大幅に軽減し、交渉を有利に進められます。
3. 返金可能性の判断と適切な戦略立案
「このケースは返金の見込みがあるのか?」
「どのくらいの期間や費用がかかるのか?」
などを、法律の専門家として客観的に評価できます。無理のない範囲での解決策を提案し、手続きの流れを全面サポートします。
副業詐欺の返金についてこちらの記事で詳しく解説しております。
弁護士への相談・依頼の流れ
1. 初回無料相談
多くの法律事務所が 「初回無料相談」 を実施しています。
「支払った金額」「契約内容」「やり取りの記録」などを伝え、まずは返金の可能性や費用の概算を聞いてみましょう。
2. 依頼内容の確認と契約
弁護士からの見通しや費用、方針に納得できれば正式に契約を締結。
依頼内容を明確にすることで 「追加費用の発生がないか」 など不安を減らせます。
3. 具体的な対応の開始
証拠の整理・調査
相手方(詐欺業者)への通知・交渉
必要に応じて 内容証明郵便の送付 や 裁判手続きの準備
警察・金融機関との連携を行う場合もあります。
弁護士費用について
1. 着手金と成功報酬の仕組み
着手金:案件を受任する際に支払う費用
成功報酬:返金が得られた際に、回収額の一部を報酬として支払う仕組み
2. 費用の相場
案件の難易度や回収額によって様々です。
着手金が10万円〜数十万円、成功報酬が回収額の20〜30%程度 という事務所が多く見られます。
3. 無料相談や成功報酬型
無料相談で見通しを立て、対応を検討する
成功報酬型であれば、弁護士への支払いリスクを抑えながら依頼できることが可能です。
当事務所では副業詐欺に関するご依頼は着手金0円・成功報酬で承っております。詳しくはこちらの記事で解説しております。
実際にあった副業詐欺の被害事例
副業詐欺の手口は年々巧妙化しています。以下に、当事務所に寄せられた実際の被害事例をご紹介します。似たような経験をされた方は、すぐに専門家への相談をお勧めします。
1. FX自動売買システムの被害事例
【被害額:250万円】
「確実に利益が出る」という触れ込みのFX自動売買システムに興味を持ったAさん(32歳・会社員)。資金が足りないと伝えると、業者から「消費者金融で借りれば大丈夫」と提案されました。
その後の流れ:
・遠隔操作アプリをインストールさせられ消費者金融での借入を業者が手伝う形で誘導
・合計250万円を借入・支払い
・実際にはほとんど利益が出ない
・サポートに連絡すると「もう少し待てば」と言われ続ける
毎月の借金返済にも苦しい状況になり、当事務所へご相談頂きました。
3. フリマサイトを使った副業詐欺
【被害額:120万円】
インターネットで副業を探していたCさん(25歳・フリーター)。最初は2,000円の副業マニュアルの購入から始まりました。
その後の流れ:
・初めは少額の取引で信用を獲得
・「多くの方が選択している」と特定のプランを推奨
・遠隔操作アプリのインストールをさせられ、消費者金融からの借入を促される
・他人の商品写真を無断使用した出品作業
4. 株式投資のAIシステム詐欺
【被害額:500万円】
SNSで「株式投資に興味はありませんか?」とメッセージを受け取ったDさん(35歳・会社員)。AI技術を使った投資システムという触れ込みでした。
その後の流れ:
・SNSでの巧妙な勧誘
・投資グループへの参加を促す
・AI自動取引システムの導入
・徐々に損失が増えていく
・最終的に500万円の被害
5. アフィリエイトコンサル詐欺
【被害額:150万円】
インターネット広告で「1日30分の簡単な作業で稼げる」と謳った広告からLINEに登録したEさん(29歳・パート)。電話相談という名目で「副業をお探しですか?」と電話で勧誘を受けました。
その後の流れ:
・業者から2ヶ月で確実に収益が出ると説明を受ける
・高額なコンサル料の支払い
・期待された収益が全く得られず
・サポート終了後、業者と連絡が取れなくなる
これらの事例から学ぶ注意点
要注意サイン:
・消費者金融からの借入を促される
・「簡単な作業」「必ず儲かる」という説明
・遠隔操作アプリのインストール要求
・急かして契約を迫る
・高額な初期費用の要求
このような被害に遭われた場合、すぐに弁護士への相談をお勧めします。諦めずに、法的な解決を目指しましょう。
まとめ
副業詐欺に巻き込まれた場合、直ちに弁護士に相談することが重要です。
自力で解決しようとする方もいらっしゃいますが、直接のやり取りでは返金が難しいことがあります。
一方で、弁護士を介入させると、相手方の反応が変わり、問題解決が進むことがあります。
証拠が少なくても、早期に弁護士に相談することで、返金の可能性が高まり、被害を最小限に食い止めることができます。
当事務所は副業詐欺被害の相談を日々承っております。
ご自身が副業詐欺にあった場合はまずは当事務所の無料相談窓口までご連絡ください。
副業詐欺で被害にあった方のお力になれれば幸いです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 被害額が少額(1万円以下)でも相談できますか?
A. はい、相談可能です。ただし、国民生活センターは比較的少額のトラブルの相談に適しており、無料でアドバイスを受けられます。
一方、弁護士に依頼する場合は、費用対効果を考慮する必要があります。最近では、少額案件に対応する「成功報酬型」の法律事務所や、初回無料相談を行っている弁護士もいるため、まずは相談してみることをおすすめします。
Q2. すでに業者と連絡が取れなくなった場合、返金の可能性はありますか?
A. 連絡が取れなくなった場合でも、返金できる可能性はゼロではありません。以下の方法を試してみましょう。
・金融機関に相談(振込先口座の凍結申請)
・決済会社やクレジットカード会社に返金請求(チャージバック制度の適用が可能な場合も)
・弁護士に依頼し、業者の所在調査や法的措置を検討
業者が逃げた場合でも、過去の振込記録や取引履歴から相手の情報を追跡できる場合があります。弁護士と相談し、適切な対応を検討しましょう。
Q3. 警察に相談したら、必ず被害届を受理してもらえますか?
A. いいえ、必ずしも被害届が受理されるわけではありません。
警察が「民事トラブル」と判断する場合、詐欺罪として立件されず、対応してもらえないことがあります。被害届を受理してもらうには、以下のようなポイントを整理しておくと有利です。
・やり取りの証拠(SNS・メール・チャットのスクリーンショット)
・振込履歴・契約書などの書面証拠
・他にも同様の被害者がいるか(集団被害の可能性)
もし警察が対応してくれない場合でも、弁護士に相談すれば法的手続きで返金を求める方法があるため、諦めずに専門家に相談しましょう。
監修者:LEGAL Zeus法律会計事務所
代表弁護士 中井 達朗
30社を超える多業種の顧問先企業をサポートしており、企業法務分野において幅広い業態の知見を有する。また、企業内弁護士を務めていた経験を活かして、AI開発会社の取締役CLO(Chief Legal Officer)をはじめ、不動産会社、マーケティング会社、美容クリニック、社会福祉法人など、合計6社(2024年5月現在)の法務最高責任者も務める。