【実例あり】ワンクリック詐欺って無視してもいい?対策方法や身を守る法律から相談先まで徹底解説

LEGAL Zeus 法律会計事務所

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【実例あり】ワンクリック詐欺って無視してもいい?対策方法や身を守る法律から相談先まで徹底解説

ワンクリック詐欺とは?

ワンクリック詐欺とはインターネット利用者に画像やURLをクリックするよう誘導されて「登録完了」「インストール完了」等の画面を表示することで契約が成立したかのように思わせて、多額のサイト利用料金を払わせる手口の詐欺です。

消費庁の統計データによると、デジタルコンテンツの相談件数は2015年ころから減少していますが2018年でも11万件を超える件数。

さらに相談や報告をしていない人も含めればその数はまだまだ多いことが予想されます。

出典:消費者庁「令和元年版消費者白書」
出典:消費者庁「令和元年版消費者白書」

ワンクリック詐欺の手口とは?

基本的にワンクリック詐欺は以下のような手順で、相手を騙します。

  1. クリックするように誘導される
  2. クリックした直後に「高額請求」のページが表示される
  3. キャンセルするなら電話をするよう促される
  4. 電話番号からSNS等で個人情報が知られる可能性がある
  5. 個人情報を基に恐喝される
  6. 巧みな言葉で誘導して高額な振込をさせてしまう

それぞれのワンクリック詐欺によって方法は異なりますが、電話番号などの個人情報を渡してしまうと恐喝までの流れが速くなります。

絶対に個人情報を教えないようにしましょう。

そもそもワンクリック詐欺って無視しても大丈夫?その理由は?

高額請求をされたり個人情報を抜かれたりしたら怖いですが、そもそもワンクリック詐欺って無視しても平気なのでしょうか?

結論からいうと「無視しても大丈夫」です。

その理由は以下の3つ。

  • 契約が成立していないから
  • 契約してしまっても錯誤があるから
  • 有料契約であることが書かれていない・分かりづらいから

1つずつ解説していきます。

契約が成立していないから

まず1つ目の理由は「契約が成立していないから」です。

ワンクリック詐欺では該当URLをクリックしたとしても、実際は契約が成立していない状態。

請求されるようなサービスを利用してない、有料コンテンツを購入していない状態で「支払い催促のページが表示されただけ」となります。

そもそも契約の成立には、以下の3つが必要です。

  • 契約を申し込む側の意思
  • 契約を承諾する側の意思
  • 両者の契約意思の合致

ワンクリック詐欺は契約を承諾する側の意思表示しかされていないため、契約成立には至っていないと考えるのが妥当でしょう。

契約していないとなれば高額請求はおろか、キャンセルするための電話義務もないので無視しても違法ではありません。

契約してしまっても錯誤があるから

つぎに2つ目の理由は「契約してしまっても錯誤があるから」です。

もし巧妙につくられたワンクリック詐欺で契約が発生してしまったとしても、錯誤があるので契約を取り消すことができます(改正民法95条)。

錯誤とは「意思表示の内容と実際に思っていたことが違うこと」であり、これを使って契約を破棄することも可能です。

このように仮に契約状態になったとしても錯誤があるため、ワンクリック詐欺を無視しても問題はありません。

有料契約であることが書かれていない・分かりづらいから

3つ目の理由は「有料契約であることが書かれていない・分かりづらいから」です。

まず前提として、有料契約を結ぶときには広告表示義務というものが発生します。

これはたとえば「送信・登録」といった曖昧な表現ではなく「購入」など明確な文言を設置するといったものです。

つまりお金が発生するものには、契約画面に有料であることを分かりやすく記載する必要があるということ。

ワンクリック詐欺でいう契約画面はURLを記載するページになりますが、そもそも騙すためのリンクなので有料だと記載している可能性は低いです。

また有料であることが記載されていても、文字が小さかったり分かりにくい部分に書いてあったりする場合は無効となります。

有料だと記載されていなかったり分かりづらかったりするページから申し込みをしている場合、ワンクリック詐欺の可能性が高いので無視できます。

ワンクリック詐欺から身を守る法律2つ

ワンクリック詐欺から身を守る代表的な法律は、以下の2つがあります。

  • 電子消費者契約法
  • 特定商取引法

どちらも商品やサービスを販売する際にチェックする項目ですが、これはインターネット利用者も把握しておくといいでしょう。

上記の法律2つを知っておくだけで、ワンクリック詐欺の被害にあってしまった際にも焦らずに行動することができます。

電子消費者契約法

電子消費者契約法とは「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の略で、インターネット利用者が増えてきたことで「操作ミスで起きた契約の救済」や「締結のタイミングを定義する」ために2001年12月25日に施行されました。

簡単にいえば、契約の最終確認をする画面を表示しなければいけないというものです。

電子消費者契約法のメリット

  • ワンクリック詐欺など同意していない契約から守られる
  • 操作ミスによる契約から守られる

たとえば通信障害などで契約完了のメールが届かずに再度注文してしまったり、操作ミスで1件ではなく11件の発注をしてしまったりした場合に、確認画面がないときなどは契約破棄を主張できるようになります。

ちなみに個人間の取引でも、電子消費者契約法は適用されます。

インターネット上での商取引に関しては電子消費者契約法が必ず適用されるので、利用者側も把握しておきましょう。

特定商取引法

特定商取引法とは「訪問販売法(訪問販売等に関する法律)」の新名称で、消費者トラブルに発展しやすいインターネット上での契約について利用者を守るために施行されました。

これは簡単にいえば、有料であることを表示していない場合や申込内容(ワンクリックした内容)の確認と訂正ができるようになってない場合、販売価格や取引の諸条件を表示していない場合は、「特定商取引法」に基づき、契約を無効にできるというものです。

ワンクリック詐欺の被害例は?こんなパターンなら警戒しよう

ここまでワンクリック詐欺を無視していい理由や、身を守るための法律について解説してきました。

ですが実際にどのような被害があるかを理解していないと、ワンクリック詐欺を受けたと理解できない可能性もあります。

それほど近年のワンクリック詐欺は手口も巧妙で、分かりづらくなっているということです。

そこでここからはよくあるワンクリック詐欺の事例を紹介します。

・クリックまたは年齢認証しただけなのに勝手に登録になる

・誤作動登録のキャンセルは12時間以内に電話またはメールにて連絡するよう誘導される

ワンクリック詐欺の事例について記載するので、ぜひ参考にしてみてください。

1.クリックまたは年齢認証しただけなのに勝手に登録になる

アプリやサイト経由でのワンクリック詐欺では、会員登録をしていないのに何かのIDが表示されているパターンもあります。

ですがページに表示されているIDは、実際は以下のようなものです。

  • IPアドレス
  • 使用しているブラウザ
  • 契約しているプロバイダ
  • ウェブサイトの登録ID

これらはサイトにアクセスする際に自動的に送られる情報であり、決して運営者が直接取得した個人情報ではありません。

なかにはページを開いた瞬間にシャッター音が鳴って「顔写真を登録しました」といった文言が表示されることもあり、個人情報を持っていると演出されることもありますが全くの嘘です。

会員登録をした覚えがないのに何かのIDが表示されていたり、併せて「個人情報を登録しました」など記載されていたりしても焦らずに対処しましょう。

2. 「誤作動登録」のキャンセルは12時間以内に電話またはメールにて連絡するよう誘導される

「登録完了」などの画面が表示された際に、通常料金45万円等の高額な請求金額が記載されており、「誤作動登録」の方は12時間以内に電話またはメールでサポーターセンターに問い合わせするよう誘導されているサイトの構成になっています。

このような場合でも、慌てて業者に連絡はしないようにしましょう。

連絡をしても解約手続きなどはできずに高額なサイト利用料金を請求されてしまうだけです。また、慌てて相手業者に連絡してしまうことで、個人情報を知られて新たに二次被害へ繋がってしまうケースがありますので十分に注意をしましょう。

連絡をしてしまった方は、一人で抱え込まないで弁護士、警察、消費者センターなどにまずは相談しましょう。

ワンクリック詐欺の対策方法とは?

ワンクリック詐欺の手口は巧妙になってきているため、引っかからないと思っていても気づいたら被害にあってしまったということもあります。

そこでワンクリック詐欺にあう前にできる対策方法、被害にあってしまっても守られる方法を7つ紹介します。

・怪しいサイトをブロックするソフトを導入する

・絶対にクリックをしない

・絶対に連絡をしない

・高額な支払いを強要されても絶対に支払わない

・身を守る法律について知る

・消費者センターや警察に相談する

・弁護士事務所へ相談する

それぞれワンクリック詐欺以外にも利用できる方法なので、ぜひ導入を検討してみてください。

怪しいサイトをブロックするソフトを導入する

ワンクリック詐欺にあう前にできる対策方法として「怪しいサイトをブロックするソフトを導入する」ことを検討しましょう。

近年だんだんと怪しいサイトへのアクセスはできなくなっていますが、それでもウイルスが仕込まれているものがあります。

怪しいサイトにアクセスしないように、ウイルス対策のソフトを導入しておきましょう。

またこういったウイルス対策のソフトを導入しておけば、アクセス先が信頼できない場合、URLをクリックしたときに警告が出ます。

ちなみに「ワンクリック詐欺には絶対に騙されない」と考えている人ほど対策をしていない傾向があります。

念のためにも、怪しいサイトをブロックするソフトを導入しておいてください。

絶対にクリックをしない

ワンクリック詐欺にあう前にできる対策方法として「絶対にクリックをしない」ようにしましょう。実際にワンクリック詐欺のURLをクリックしただけでは、特に何も問題はありませんがURLをクリックして登録となってしまったら、表示されるページに記載された電話番号へは電話はしないで事です。かけることで、個人情報を盗まれたり脅迫の材料となったりしてしまいます。

「契約の取消には電話でお問い合わせください」といった文言が表示されていても、絶対に電話をかけないようにしましょう。IDなどが表示されていても焦らないように、しっかりと覚えておいてください。

絶対に連絡はしない

「誤作動登録の方はこちら」「退会申請はこちら」等と連絡先が記載されていて、電話やメールで業者へ連絡を取ると、かえって個人情報などを業者に知らせることになり、執拗に請求の連絡が来てしまい新たな被害にあってしまう可能性がありますので、絶対に連絡はしないように注意をしましょう。もし連絡をしてしまったら一人で悩まずに、弁護士や警察、消費者センターへ相談をしましょう

高額な支払いを強要されても絶対に支払わない

ワンクリック詐欺の被害にあってしまっても守られる方法として「高額な支払いを強要されても絶対に支払わない」ようにしましょう。

ワンクリック詐欺といえば高額な支払いを要求されることが多く、正当な理由に見える法律などを記載して脅迫されることがあります。

ですが1度支払ってしまうと、返金されることは難しいでしょう。

URLをワンクリックしただけで焦ってしまう心境は理解できますが、高額な支払には応じないことが大切です。

また契約のキャンセルをするために記載された電話番号へ連絡してしまえば、口頭で支払いを強要されるかもしれません。

ただ強要や脅迫などは犯罪ですし、こちらに支払い義務は全く発生していません。

高額な支払いを強要されても、絶対に支払わないようにしましょう。

身を守る法律について知る

これは自分を助けるための法律を知っているだけで、必要な場面で主張ができるようになります。

先述した通り、身を守る法律は以下の2つです。

  • 電子消費者契約法
  • 特定商取引法

ワンクリック詐欺の被害に合わないことが最優先ですが、もしあってしまった場合にも二次被害を避けることができます。

電話番号から個人情報を奪われてしまっては、その後に発生する手続きも多くなってしまいますよね。

また契約締結ができていないのに、不当な脅迫を受ける可能性もあります。

ワンクリック詐欺の被害にあう前に身を守る法律を勉強しておいて、もし脅迫されても焦って入金をしないようにしましょう。

まとめ

今回はワンクリック詐欺の対策方法や身を守る法律から、事例まで解説しました。

ここで本記事についてのおさらいしておきましょう。

ワンクリック詐欺とは、画像やURLをクリックするよう誘導されて「登録完了」等の画面を表示されることで契約が成立したかのように思わせて、多額の利用料を払わせる手口の詐欺です。

基本的には、登録完了だけの画面が表示されただけでしたら様子を見ていただいて大丈夫ですが、慌てて相手業者に連絡をしてしまうことで個人情報を知られてしまい新たに二次被害へ繋がってしまうケースがありますので十分に注意をしましょう。

また、ワンクリック詐欺から守る法律や対策方法なども解説しましたが、被害にあってしまった場合は、心境的にも1人で抱え込むより、しかるべき相談機関へ相談することをおすすめします。

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